300件の年間新規申込数を持つConstellium Valaisは、押し出し加工でさまざまなアルミニウムのオブジェを生産しています。新規の依頼は、顧客が希望するプロファイルが製造可能かどうか、どの程度のコストで製造できるかを毎回個別に判断し、工具や製造レシピを設計する必要があるため、多大なエンジニアリング労力を必要とします。この解析の本質的なタスクの1つは、要求されたプロファイルに類似したものを生産履歴から検索することで、その製造可能性の精査と押し出し時のプレスの圧力予測の役目を担う個々の専門家の経験を補完することです。
HEI ValaisのSPL研究グループがコーディネートし、Constellium Valais 社との協業である、このP3（Press Pressure Prediction）Innosuisseプロジェクトは、AI技術を駆使することで、専門家のフィージビリティスタディを支援することを目的としていました。この目標は、プレス圧を予測し、また生産履歴から類似のプロファイルを検索する強力なツールの開発によって達成されました。Idiap研究所では、知覚・活動理解グループがこのコラボレーションに参加しました。
その仕組み
Constelliumは、AIに必要なデータを得るため、すでに製造済のプロファイルの1,200以上の原案や、これらのプロファイルの73万回に渡る押出成形データなどすべての生産データの取得に徹底的に取り組みました。この情報は、2つのモデルの設計とトレーニングのために活用しました。そのモデルとは、プロファイルの画像から形状の特徴的なシグネチャを抽出し、データベースから類似のプロファイルを素早く探し出すニューラルネットワークと、特定の速度と温度で押し出し中の圧力を予測する条件付きニューラルネットワークです。
最後に、エンジニアやオペレーターが日常的なニーズに応じて簡単にこれらのモデルを使用できるよう、HEIが開発したグラフィカルインターフェースを実装しました。
評価すべきプロファイルと類似したプロファイルを素早く見つけ、押出工程全体の圧力を素早くシミュレーションする新しい解析手段を得ることができ、Constellium Valais 社の専門家はこの新しいツールに非常に満足しています。このプロジェクトは、ヴァレー州の研究機関と産業界の実りあるコラボレーションであり、Constelliumのパートナーは、モデル予測の新しい使用方法と改善方法を発見しました。
Idiap研究所について
Idiap研究所は、AI分野とヴァレー州に大きな貢献をしています。その画期的な研究はAI技術の発展に寄与し、研究所の地域社会への貢献と教育へのコミットメントは、地域の革新と成長を促進するものです。AI分野が進化し続ける中、Idiapはこれからも研究とイノベーションの最前線に立ち、次世代のAI技術への道を切り開いていくことでしょう。
