BTRY社はチューリヒ州にあるスイス連邦材料科学技術研究所(Empa)のスピンオフで、革新的な薄膜電池で次世代の電池技術の先駆けです。
Empaの研究者アブデッサレム・アリビアとモリッツ・フッチャーは、リチウム金属をベースにした固体電池を開発しました。Empa発表のプレスリリースで、両者は「バッテリー技術を再考すべき時が来ている 」としています。
スイス連邦材料技術・薄膜太陽電池研究所で開発された薄膜固体電池は、安全性が高く、充電時間が短く、長持ちし、温度に影響されず、不燃性で、リチウムイオン電池よりも環境に優しい方法で製造することが可能です。「現在最も成熟したバッテリー技術」です。
薄膜固体電池は1980年代に開発されましたが、「薄膜部品の質量が非常に小さいため」少量のエネルギーしか貯蔵できず、普及しませんでした。Empaの研究者たちは、今回の彼らの革新的なアプローチで、薄膜セルを積み重ねることにより蓄電容量を増やすことに成功しました。製造プロセスは、半導体チップの製造に使われる真空コーティングをベースにしています。
製造には毒性のある溶剤を使用しません。これにより製造コストは上昇します。このため、商業的な用途のひとつとしてまず、「スマートフォンやスマートウォッチ、人工衛星など、バッテリーが機器全体のコストのごく一部を占めるに過ぎない製品 」が考えられます。
BTRYは、この技術を市場に投入するため、投資家を探しています。事務・管理業務や技術の改善を実現と、バッテリーのプロトタイプをより大きく、より強力にすることを目指しています。また表面積と層数も今後2年間で増加していく予定です。
(敬称略)