欧州全体の傾向と同様に、スイスにおいても2021年はスタートアップへの記録的な規模の投資が行われ、資金調達は総額31億米ドルに達しました。結果として、スイスのスタートアップに投資したベンチャーキャピタル数は2016年以降3.7倍に増加しています。
オランダのアムステルダムに本社を構えるスタートアップとテクノロジー・エコシステムに関するデータプロバイダであるDealroom.coが実施した調査「The Swiss start-up ecosystem in numbers」によると、スイスの現在のスタートアップ・エコシステムの評価額は1490億米ドルに上るとされています。
この調査によるデータから明らかなように、エコシステムの価値の大部分を占めるのは、スイスの主要産業ともいえる医療やバイオテクノロジー分野のスタートアップに加えて、大学からのスピンオフによるものが挙げられます。過去6年間で全ベンチャーキャピタルによる投資の50%がヘルステック関連企業に充てられ、その調達額は総額70億米ドルに達しています。
スイスは比較的小さな国ではあるが、企業家精神が強いことが特徴です。Dealroom.coのレポートによると、「国の規模やそのスケールで注目を集めている近隣諸国よりも、スイスは国民1人当たりのスタートアップ数は多い」とされています。特に、ユニコーン企業に関しては、欧州における人口100万人当たりのユニコーン企業数設立が3社という数字を誇るのは、スイスとスウェーデンでのみである。この比率を軸に考えると、「スイスのユニコーン企業数はフランスの6倍」であり、「スイスのスタートアップ企業数はドイツの3倍」と同等であることが言えます。