ニュース

北極圏エアロゾルで気候変動の理解を深める

アールガウ州に位置するポール・シェラー研究所とヴォー州の連邦工科大学EPFLの研究者は、気候変動の実態の詳細を把握するため、数年間にわたり北極に設置した8つの研究拠点でエアロゾル(空気中に漂う微細な粒子)について研究してきました。同地域の気温は他地域に比べ2 - 3倍速度で上昇しているため、この研究の重要性は非常に高いです。

ポール・シェラー研究所(PSI)で大気化学研究所を統括するImad El Haddad氏  ©Paul Scherrer Institute/Mahir Dzambegovic
ポール・シェラー研究所(PSI)で大気化学研究所を統括するImad El Haddad氏 ©Paul Scherrer Institute/Mahir Dzambegovic

スイスのポール・シェラー研究所 (PSI) とスイス連邦工科大学ローザンヌ(EPFL) の研究者は、北極圏におけるエアロゾルの化学組成とその起源を研究しています。ロシアからカナダまで北極圏を横断する8つの研究拠点で数年間にわたって採取したサンプルを分析しました。エアロゾルが見受けられ、PSIのプレスリリースによると、エアロゾルには自然起源と人為起源のものが見受けられ、同地の気温は他地域よりも2 - 3倍速く上昇しているため、北極は気候変動を理解する上で「極めて重要な地域」となっています。

これまで、北極圏のエアロゾルに関するデータはほとんど存在しなかったため、PSI大気化学研究所は、「有機エアロゾルとその起源に関する研究の最前線にある」と、同研究所を率いるImad El Haddad氏は説明します。また、EPFLの極限環境研究所で責任者を務めるJulia Schmale氏は、「地域や時期など異なる条件でどのような種類のエアロゾルが存在し、それらのエアロゾルの起源と組成を知ることができれば、そのエアゾロルがどのように気候変動に関係しているかをより詳細に把握することができます」と、説明します。同研究はSchmale氏とEl Haddad氏の共同監修のもと、Vaios Moschos氏による博士論文の一部として執筆されています。

同研究では、人為起源のエアロゾルは冬期の発生が多いのに対し、夏期の有機エアロゾルは自然起源であることがわかっています。この発見にSchmale氏は「自然発生する有機エアロゾルがこれほど多いとは思っていませんでした」 と語っています。高い割合は気候変動によるもので、冬期に発生する硫酸塩、海塩、石油やガスの抽出施設から排出されるブラックカーボンなど、ほとんどのエアロゾルは人間の活動によって生じています。特にブラックカーボンは地球温暖化への影響が懸念されています。「本研究で収集されたデータによって、年間を通じた北極県内各地域のブラックカーボン濃度と起源を地図化することができ、最適な対応策を取るよう提言できました」と、加えています。

地球規模の課題解決に国境はありません。スイスの研究機関は日本企業との協業や共同研究機関に意欲的です。気候変動への対応策を欧州とアジアからグローバルに取り組んでみませんか。ポール・シェラー研究所(PSI)もスイス連邦工科大学ローザンヌ(EPFL)も、スイス・ビジネス・ハブが日本の窓口を担当する「スイス・イノベーション」のネットワークに属する研究機関です。

事業展開ハンドブック

事業拠点としてのスイスの優位点、スイスの投資環境、生産コスト、税制、インフラや新技術、ファイナンスや法務など、会社設立に必要な情報をまとめたハンドブック(全168ページ)を、ぜひご一読ください。

リンク

共有する