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PSIとAlphaSYNTの協業で、メタンによるエネルギー供給の商業化へ

ポール・シェラー研究所 (PSI) はスタートアップAlphaSYNTと共同で、PSIが開発した技術「Power-to-Methane」の市場展開を計画中です。冬期に減少する太陽光エネルギー供給を補完するエネルギー革命の推進に期待が寄せられています。

左からAlphaSYNTのAndreas Aeschimann氏とLuca Schmidlin氏、PSIのTilman Schildhauer氏。©Paul Scherrer Institut/Markus Fischer
左からAlphaSYNTのAndreas Aeschimann氏とLuca Schmidlin氏、PSIのTilman Schildhauer氏。©Paul Scherrer Institut/Markus Fischer

ポール・シェラー研究所(PSI) にとって、同研究所が開発した革新技術「Power-to-Methane」の商業化を目指すにはスタートアップAlphaSYNTとの提携が不可欠です。まさに「理想的なパートナー」の獲得に成功したPSIは、アールガウ州・エーグリスヴィルで2020年末に設立されたスタートアップAlphaSYNT社は、同技術の商業化に適した戦略的ノウハウを備えているとプレスリリースで発表しています。

将来的にはメタンガスという形でエネルギー貯蔵が可能になり、ガスパイプライン、バイオガス、廃水処理施設などが所有するエネルギー供給業者が、この恩恵を受けることになると言われています。同技術は一般家庭への供給には構造が複雑すぎるとされています。

この技術による生成プロセスは2段階に分かれており、初期段階として電気分解による水素生成を行い、次段階でメタン化を実施します。この過程で発生した水素は、農林廃棄物中のバイオガスに添加され、同ガス中に含まれる二酸化炭素をメタンと水に変換します。

メタンの場合、同じエネルギー量の水素と比較すると、貯蔵時の体積は水素の1/3程度で済むという利点があります。AlphaSYNTのCEO、Tilman Schildhauer氏は、「さらに、メタンガスは既に使用・貯蔵されているため、既存のガスインフラを活用できる可能性があります」と述べています。同技術の商業化により、将来的には太陽光発電システムの発電量が少ない冬期などの運用に期待が高まっています。

PSIはこのメタン生成プロセスのために、ニッケル粒子を用いた触媒流動層式リアクタを開発しました。この機器がもたらす高温は、特殊なパイプシステムを流れるオイルによって吸収されます。「この構造で粒子の流動化と組み合わせることにより、特に強力な冷却作用を提供し、等温でコンパクト且つ低コストのリアクタの供給が可能となる」とPSIは説明しています。

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