ヴォー州に拠点を構えるSun-Ways社は、鉄道用線路の間に太陽光パネルを設置し、電力供給を行う試験運用を今春からヌーシャテル州で開始します。この運用が持続可能なエネルギー生産における新たな分岐点をもたらす可能性があり、期待が寄せられています。レールの間にパネルを設置するため、視覚的もそれほど目立つことはありません。また、パネルの着脱は、Sun-Ways社が開発した装置で機械的に行うため、線路の保守作業にも影響を与えることはありません。
ヌーシャテル州・ヴァル=ド=トラヴェールは、TransNとの連携し、Viteos社やCSEMなどの協力のもと同プロジェクトの実施します。プロジェクトの最大の課題は協力者を得ることで、5月からビュット路線内100メートルの区間で試験運用ことが決まりました。
現段階では、太陽光パネルで発電された電力はTransNが低電圧信号などへの供給に使用しますが、長期的には電車や公共電力網へ直接供給を目指しています。Sun-Ways社の計算によると、スイスの鉄道網で同社のパネルを活用することで、年間1TWhの太陽光発電が可能となり、スイス国内における公共交通機関による電力消費量の30%に充当できるとしています。
太陽光発電技術のパイオニア - ヌーシャテル州
ヌーシャテル州のビュット路線に世界初めて線路用太陽光パネルが設置されたのは、偶然の産物ではありません。ヌーシャテル州は、元来、太陽光発電技術のパイオニアとして知られています。2022年初頭には、エネルギー転換に積極的の取り組むVARO Energy Group社とGroupe E社が、同州内クレッシエにスイス国内最大規模の地上設置型太陽光発電所の建設を発表しています。そして、Group Eによって「Solar Access training course」が開始され、理論と実践を組み合わせた太陽光発電を多角的に学ぶ講義が提供されています。
また、ヌーシャテル州には、CSEMが運営する太陽光発電と持続可能なエネルギー貯蔵・管理の分野で技術革新を促進し、技術移転を加速させるプログラム「Swiss Center for Sustainable Energy」も存在し、新しい太陽電池とエネルギーソリューションを技術的に成熟させ、スイスのみならず世界の再生可能エネルギー産業への貢献を使命に活動しています。
CSEMをはじめとする太陽光発電研究が盛んな研究機関はスイス・イノベーションのネットワークに属しており、日本企業との共同開発にも意欲的です。スイス研究機関との共創をご検討の際は、スイス・ビジネス・ハブまでお問い合わせください。